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好き放題に、「お酒を飲んだ勢いで」。 サークル活動、はじめました。「ここだけネバーランド」というサークルの主催です。 

ラブライブ!サンシャイン!!#5「ヨハネ堕天」

※タイトル表記にミスがあったため修正しました。申し訳ないです。

 

すみません、週末は『シン・ゴジラ』見て衝撃を受けて更新が遅れました。怪獣王の日本凱旋にふさわしい大傑作でした。それにしても『シン・ゴジラ』はすごい。今までブレずに空想科学に拘った庵野秀明の真骨頂!……って失礼、これは『ラブライブ!』の記事でした。いや、頼むからあなたが後悔する前に『シン・ゴジラ』見に行ってくださいお願いします。

 

ニコ生っぽいものをやってるヨハネ。確かに『ラブライブ!』の元ネタのひとつにニコ生/youtuber文化ってのは当たり前すぎて忘れてた。

 

ヨハネ高校デビュー失敗から幕を上げる。一方Aquorsは人気獲得のための試行錯誤。
ヨハネが普通になりたいのも天使になりたいのも堕天使を演じるのも、ひとえに「受け入れられたいから」
ことごとく「普通」であることをコンプレックスにしている本作、同期に“あの”なによりも普通でありたかった異常者・吉良吉影大活躍な『ダイヤモンドは砕けない』アニメ版が放送されているのは何かの縁かな。

 

ヨハネがそちらのアルファみたいなもんだった一方でパソコンが使えない花丸。
「こんなに弘法大使空海の情報が!」ある種仏教と切っても切れない関係な話だからねえ。

 

1.ヨハネ恥ずかしくなって不登校→クラスで実は気にもとめられていなかった。
2.ラブライブ!Aquorsイメチェンでランクアップからのランク急落。
この2回は対比であり、ヨハネ自身のアイデンティティを世界から否定される所につながっている。

 

まああれですね。みんなニチアサやウルトラマンやアニメ特撮なんて見なくなっちゃって、自分も交友の一番のネタだったはずがコミュニケーション立ちいかなくなって、孤立しちゃうかそれを恐れてさんざんブンドドしてたおもちゃをすててしまうという、『トイ・ストーリー』シリーズの悲しみに通じる思春期男子の心境にあてはめればいいかなと。「幻想や夢」それじたいはどんな気持ちでいるんだろうね。

 

 「これ本当の自分なのか?天使みたいにキラキラしてたのに何かのはずみにこうなったのでは」

もちろんこれは字義的な意味だけではなく、今だからわりと声高に言えるけど、オタク批判が今なんて比較にならないくらい酷かった十数年前とかだったらまかり間違っても通らなかった話ですね。

飛び抜けた容姿でもない限り、アニメ漫画の話をすれば確実にマイノリティ及びスクールカーストの下に追いやられる暗黒時代を過ごした諸氏は、ヨハネの抱く恐怖とジレンマを理解できるはずである。こぼればなしをすると、筆者の思春期は『電車男』公開時で、この地獄最大のピークであった。いや、思春期真っ只中にAKBをはじめとするアイドルブーム・アニメブームに乗れてる今の子にとってはどうでもいい、キャラが原作と違うと切って捨てられる話か。うらやましい限りである。『ハルヒ』あたりから経済効果が明確化してマスコミがすり寄っていくまで、そんな暗い時代を過ごした人間となれば、人間不信になって精神壊したって仕方ないもんである。

ところで『桐島、部活やめるってよ』の映画版。映研のように、好きなことやってるのが一番楽しいって話がある。でも世の中そうはうまくいかない。個人の世界に浸っていると、あの映画のラストで桐島を失った、カースト上位のバレー部が、カースト下位の映研が楽しく撮ってたゾンビ映画を潰しておきながら図々しく「総ての人間が俺を憐れむべきだ」と言わんばかりに世界で一番不幸そうな顔をしている。といった具合に誰かが茶々を入れてくる。ヨハネもおそらく、自分の大好きな信じたものを捨てようとするぐらい価値観を変えてしまうほどに、中学時代にリアルでいじめに遭ったとか孤立したとか相当な辛酸をなめさせられたのだろう。(まあニコ生でリアルネット双方でいじられまくった可能性もあるけど)

 

あと、庵野秀明の話(前フリ回収)。あのひとほんとにヤマト・ウルトラマンをはじめとする特撮と日本映画大好きでそれで育ってきてて、『エヴァ』に至るまででアニメ界で大いなる下地を作ってからもっと「外」に受けようと思って村上龍の『ラブ&ポップ』撮ったり『彼氏彼女の事情』でアート系や少女漫画もの作ったまではよかったんですが、これまたアート系映画の『式日』で大顰蹙を買って、しばらくのちに彼を育んだ空想科学の贅を凝らした『ヱヴァ』を作り、空想科学の極北たる『シン・ゴジラ』を作って大喝采を浴びているってシンクロがおもしろいです。

そうそう、共同監督の樋口真嗣も同じ感じで、監督業で2006年に東宝・TBS出資で『日本沈没』リメイク版撮りましたね。TV局の要請か、草彅剛と柴咲コウの恋愛を入れなければならなくなったらしく、苦心惨憺考え抜いて、あのヘリポートで草彅剛が死地に赴く直前に柴咲コウを抱けない。というラブシーンが誕生してしまったですね。樋口監督はこれ以外にも多大な制約を強いられ、特撮のカット割り以上に必死で純愛について考えたのに、大衆は「くだらない」と切って捨ててしまった。泣ける話。そんな彼もまたそういう門外漢な恋愛描写を一切排除して今回の『シン・ゴジラ』を作った、というのもまたおもしろいシンクロですね。

 

結論:オタクの存在論についての話ですね。今回は。

「そのままでいいんだよ、自分が好きな姿を見せることがベスト」(俺は受け入れてやるよっていう救済)
ラブライブ!』としては正しい着地点。ただ後半でその「代償」を描くか描かないか(本家が逃げてしまったテーマ)が傑作になるかならないかの分かれ目。

 

あ、あとこれ『シン・ゴジラ』の話ともつながってくるんでちょっとご覧になってほしいんですよ。ちょうど今回のエピソードと同じようなシーンがあるんで(キツメの女性が書類/PCをスライドさせるシーンと今回のゴジラの正体の有力説

 

   


『シン・ゴジラ』予告2