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好き放題に、「お酒を飲んだ勢いで」。 サークル活動、はじめました。「ここだけネバーランド」というサークルの主催です。 

チケキャン取引停止についておもうことと転売を滅ぼす唯一の方法

12/7夕刻に、チケットキャンプが全ての取引停止を発表。商標法違反および不正競争防止法違反の容疑で捜査当局による捜査を受けたことが理由らしい。

(商標法、不正競争防止法に関してはチケット売買に関する項目はなく、多くの人はジャニーズの名前を使ったことがどこかのお上の逆鱗に触れての流れだろうと推測している)

参考:

商標法 | 経済産業省 特許庁

不正競争防止法の概要と改正(METI/経済産業省)

 

twitter上では、この措置に歓喜の声があふれているが、僕はそれが理解できない。

何故なら、こんなチケットサイトひとつ潰したところで、市場がついえたわけではないからです。

(実際、チケキャンにつづかんと数多くのチケットサイトが存在し、多くの転売屋はそれらに流入する形となっている)

極論をもうしあげると、金券項目の古物商許可をとって(当然、万単位のカネと手間はかかる)自前で店を開いてしまえば、2017/12/7の22時現在は合法的にそういうことが可能なんですよ。

それにこういうサイトがなくなったからといって、極論を申し上げると一昔前に時代を戻して、会場前のダフ屋と化する手ものこされています(たいていの場合は迷惑防止条例違反となるが、正直抜け穴はいくらでもあるし、今も現役でそういうことやってる人はいる。実際10月のアイマス武道館にもいた)。ライブに行きたいやつは自分も含めてあの手この手をつくしますし、儲けたいやつらも同様にします。

 

そもそもチケットの転売が起こるのは需給の不一致からなるものです。いや、チケットでなくてもいいでしょう。禁酒法時代の酒だって、第二次大戦下の砂糖や白米や果物だって、果ては現代の麻薬や希少種だって同様のものです。だから密造酒もヤミ市も乱獲も発生します。

 

希少種に関しては保護と飼育と繁殖計画を施すことで、酒は解禁し食料は生産量を上げることで、現代日本ではかろうじて一定の供給が保たれ、飢えに苦しむことはなくなりました。よほどのことがない限り明日の飯のために人を殺すなどということはなくなりました(見えないところでもっとひどいことはあるかもしれないけど)。

 

僕は法規制や税制による民衆への抑圧が供給不足からなる脱法行為を抑えていると考えるタイプの人間ではありません。むしろ逆です。しかし現状ではそれに気づかない者たちがそういう規制に喜んでいるという印象が強いです。

 

日本政府は、東京オリンピックを機に転売の規制を法改正によって強化するという方針を打ち出していますが、私から言わせればこれは愚策です。というか、何のための新国立だのスポーツセンターだのなのかと言わざるを得ない。

簡単に申し上げると、この方針を打ち出したアホどもは「会場に入れない客が必ず存在するようにする」=つまり「需給の不一致を温存する」方向でもっていこうとしているわけです。酒による反社会勢力や食料のヤミ市の拡大もそこに付け入られたというのに(いや、裏でグルならそれで納得なんですが)。エリートのお偉いさんが歴史に不勉強なんて受験戦争って本当に世の中の何の役にも立たないんだなあ。

 

ここまでくるともう何をかいわんや。チケット問題を解決するには、キャパシティを増やすしかないです。たとえばライブならアイマスとかはもうドームでやるしかないです。嵐とかはかつてGLAYラルクがやったみたく埋立地に特設の野外会場作って10万人入れちゃうぐらいやらないともう無理でしょう。施工業者などに対してのある程度の特需も生めるはず。

 

ところがそれをやらない。特にアイマスラブライブは本当に異常で、あえて小さな会場を選択することが多い。

 

単純な理由である。CDや映像ソフトを売りたいからである。

いまさら説明するまでもないですが、近年のアニメ作品の音楽・映像ソフトには、新品を買った人間だけがイベントチケットの抽選に応募できるシリアルナンバー入りの紙が「特典として」ついてくるパターンが多いです。

キャパが狭ければ狭いほど、確率論を信じるファンが、シリアルのついたCDやソフトを買ってくれるからである。

そのため、これらの公演はヤフオクチケキャンで相当な相場の高騰が見られた。8000円のチケットが平然と3万以上で取引されている(アイマスはチケット販売でおひとり様2枚までをキープしかつ本人確認を導入したため、転売が出る状況は変わらずさらにパイが減ったという泣き面に蜂状態でさらに相場が向上した。もちろん演者に近い席ではなく後方での値段である)。

だが、売りに出すものの気持ちもわからないでもない。積んだシリアル分の代金をペイしたい気持ちだってある(ちなみに5枚10枚なんてなまやさしい話じゃないぞ。本当に行きたいやつは100枚=シリアルだけで約15万円とか普通に積んでるし、それで当たるかどうかという世界)。

にしてもこの市場構造自体あまりにも不健全である。もちろんシリアルを積んだからといえど、ひとこと「当選を保証するものではない」と書いてしまえば、あるいは当選という文言を回避すれば、消費者庁の監査を逃れられる。でなければバンナムブシロードはとっくにしょっぴかれててもおかしくないのだから。というか、こんな状態になっても小指一つ動かさないって政府も転売に加担しているグルだと疑われても仕方ないんだよなあ。

 

さて、転売屋を生んでいる根本原因は何なのでしょうかね。さっぱりわかりませんね?

 

おまけ

 

たまたま知り合った海外のアイマスPが嘆いていた。「イープラスではチケットが買えないから(本当に不本意だが)非正規ルート(定価譲渡含む)がかろうじて受け皿になっていた」と。

イープラでは転売防止策と題してSMS認証設定が導入された。つまり国内在住の日本人の携帯番号を持っていないとチケットが買えないというシステムである。つまり、外国人は絶対的な締め出しをくらうシステムが構築されることとなった(シリアルをいくら積んでも絶対に正規ルートで買えないということです)。我々が殺せ潰せと非難するシステムは、彼らにとっての唯一の救済だった。これもどこかで見たことがあるシチュエーションである。今私の心には悲しみしかない。